テンポラリーウォーターとは?カジュアルウォーターとの違いや救済ルールをやさしく解説

※この記事はプロモーションを含みます

「この水たまり、どうすればいいの?」「拾って拭いても大丈夫?」

雨上がりのラウンドや朝露が残るコンディションで、フェアウェイやバンカー、グリーン周りに水が溜まっていた経験はありませんか?そんな時に関係してくるのが、ゴルフルールで定められた“テンポラリーウォーター”という概念です。

テンポラリーウォーターは、ルールに基づいて無罰で救済が受けられる状況のひとつ。しかし実際には、「どこから打てるの?」「バンカーだったらどうなる?」「カジュアルウォーターと何が違うの?」と混乱する方が多いのも事実です。

この記事では、テンポラリーウォーターの正確な定義から、場所ごとの対応方法(フェアウェイ・バンカー・グリーン・ラフ)までを、ルールに基づいて分かりやすく解説していきます。

テンポラリーウォーターを正しく理解すれば、ルールに従ってプレーのストレスを減らし、スコアロスを未然に防ぐことができます。ぜひ、実践的な知識をこの機会に身につけましょう。

テンポラリーウォーターとは何か?基本ルールをおさらい

テンポラリーウォーターとは何ですか?

テンポラリーウォーターとは、一時的に発生した水たまりやぬかるみのことで、自然現象によってできた「偶発的な障害物」としてゴルフ規則で定義されています(ルール16.1)。芝の上に立ったときに、水が靴の下からにじみ出るような状況であれば、テンポラリーウォーターと判断できます。

たとえば、大雨やスプリンクラーなどでコース上に溜まった水が、明らかに一時的である場合はテンポラリーウォーターに該当します。ただし、常に存在している池や湿地帯は対象外です。

テンポラリーウォーターがある場所にボールが止まっていた場合、プレーヤーは無罰で救済を受ける権利があります。つまり、ドロップしてプレーを続けることが可能ということです。

このルールの目的は、ゴルフ本来の“フェアなプレー環境”を守るため。自然に起きた障害によって著しく不利になることを防ぐための、プレーヤーにとってありがたいルールのひとつです。

カジュアルウォーターとの違いはどこ?

ゴルフ経験者の中には「テンポラリーウォーターって、昔のカジュアルウォーターのこと?」と思う方もいるかもしれません。実はその通りで、「カジュアルウォーター」という言葉は旧ルールで使われていた用語であり、2019年のルール改正によって「テンポラリーウォーター」に統一されました。

つまり、意味としては同じですが、現在の正式名称はテンポラリーウォーターです。この記事でも現行ルールに合わせて「テンポラリーウォーター」で統一して説明します。

なお、過去の資料やYouTube、ラウンド中の会話などで「カジュアルウォーター」という表現が出てくることは多々ありますが、混同しないように注意が必要です。
「あ、それテンポラリーウォーターのことだな」と理解していれば問題ありません。

まとめると、カジュアルウォーター=旧用語/テンポラリーウォーター=現行ルール。意味は同じなので、違いに迷う必要はありません。

ゴルフのルールでカジュアルウォーターとは何ですか?

先述の通り、カジュアルウォーターとはテンポラリーウォーターの旧称ですが、ここではもう少し具体的にその定義や取り扱いについておさらいしておきましょう。

旧ルールでは、カジュアルウォーターは「一時的にできた水域で、プレーの妨げになるもの」と定義されていました。ラフ・フェアウェイ・グリーン・ティーグラウンドを問わず、明らかに地面上に水が浮いていて、通常のスイングやスタンスに影響がある場合が該当します。

プレーヤーが水たまりの中や付近に立ったとき、靴の下から水が染み出てきた場合、それは明らかにテンポラリーウォーター(旧:カジュアルウォーター)です。こうした状況では、無罰での救済(ニアレストポイントから1クラブレングス以内へのドロップ)が認められます。

このルールは現在も変わっていません。ただし、呼び名が「テンポラリーウォーター」に変更された点だけを押さえておけば、混乱することはありません。

テンポラリーウォーターが発生した時の正しい対応とは

テンポラリーウォーターで拾ったボールは拭けますか?

テンポラリーウォーターの中にボールが止まってしまい、拾い上げて救済を受ける場面では、「ボールを拭いてもいいの?」という疑問を持つ方が多いです。結論から言うと、ルールに則って拾い上げた場合は、ボールを拭くことが可能です(ゴルフ規則14.1c)。

具体的には、テンポラリーウォーター内にあるボールを無罰で拾い上げて救済を受ける場合、プレーヤーはそのボールを清掃(拭く)することが許されています。ただし、プレースまたはドロップするための手順を踏んでいる必要があります。

逆に、ボールの位置を確認するためだけに拾い上げたのに、清掃までしてしまうと1打のペナルティになるケースがありますので注意が必要です。

まとめると、テンポラリーウォーターでの拾い上げにおいては、「救済のため」であれば拭いてOK。それ以外の目的ではNGという点を覚えておきましょう。

テンポラリーウォーター 救済の手順と注意点

テンポラリーウォーターにボールが止まった場合、無罰での救済を受けることができます。手順としては以下の通りです:

  1. まず、ボールがテンポラリーウォーター内にあるかどうかを確認します。
  2. 次に、ボールがあった場所から最も近い完全な救済エリア(=テンポラリーウォーターの影響を受けない地点)を特定します。
  3. そこから1クラブレングス以内の範囲にボールをドロップします。

注意すべき点は、「ニアレストポイント」が必ずしも“カップに近い方向”ではないということです。場合によっては後方や横に戻ることもあります。

また、ドロップ後にボールが再びテンポラリーウォーターに戻ってしまった場合は、再ドロップが可能です。それでも戻る場合は、プレース(置く)ことが認められます

このように、ルールに沿った適切な救済手順を踏むことで、ペナルティなく快適にプレーを続けることができます。焦らず落ち着いて判断しましょう。

テンポラリーウォーター プリファードライの扱い方

テンポラリーウォーターの救済とあわせて混同されやすいのが「プリファードライ(Preferred Lies/リプレース方式)」のルールです。これは、悪天候やコースコンディション不良により、ローカルルールとして採用される特別な処置です。

たとえば雨の後でフェアウェイが泥だらけになったときなどに、指定エリア内でボールを拾い上げて、一定範囲内でリプレースしても良いというルールです。多くの場合、6インチ(約15cm)以内であれば好きな場所に置き直せます。

テンポラリーウォーターの救済とは異なり、プリファードライは常設ルールではなくローカルルールであり、クラブや大会側が事前に告知する必要があります。プレー前に掲示板やスタート室で確認しておくのが安心です。

「テンポラリーウォーター=プリファードライが使える」というわけではありませんが、コース全体が悪条件のときには併用されるケースもあります。そのため、両方のルールを正しく理解しておくことが求められます。

場所別に異なるテンポラリーウォーターの救済ルール

テンポラリーウォーター バンカーの判断基準

バンカー内に水が溜まっている状態、つまりテンポラリーウォーターが発生した場合は、「この水たまりは救済の対象になるのか?」という判断が必要です。判断基準は他のエリアと同様で、スタンスを取ったときに水が靴底から染み出るかどうかが目安となります。

バンカーは本来、ハザード(ペナルティエリアではない)としてプレーが難しいエリア。その中に水たまりが発生していたら、テンポラリーウォーターとみなされ、無罰での救済が可能です。ただし、バンカーの外に出して救済を受ける場合は1罰打が必要となります。

無罰での救済を受けたい場合は、あくまで同じバンカー内の、最も近い完全な救済エリアにドロップする必要があります。そこも水浸しでプレーできない場合に限り、バンカーの外(後方線上)にドロップしてプレーすることが許されますが、その場合は1打のペナルティが発生します。

このように、テンポラリーウォーターがバンカー内に発生した場合、判断と対応に柔軟性が求められる場面になります。

バンカーのテンポラリーウォーターからの救済方法

バンカー内のテンポラリーウォーターから救済を受ける場合、ルールは次の2通りに分かれます:

  1. 無罰での救済(バンカー内にドロップ)
    まずは、バンカー内でテンポラリーウォーターの影響を受けない最も近い場所(完全な救済)を探します。そして、そこから1クラブレングス以内にボールをドロップします。
  2. 1罰打での救済(バンカーの外にドロップ)
    バンカー内のすべての場所で完全な救済が不可能な場合に限り、後方線上(ピンとボールを結んだ後方)にボールをドロップできます。この場合は1打のペナルティが加算されます。

判断に迷う場合は、同伴者や競技委員に確認をとると安心です。
また、ボールを拭くことは可能ですが、リプレース(置く)ではなくドロップが原則である点も忘れずに。

テンポラリーウォーターによるバンカー内の救済は、スコアに直結しやすいため、ルールを正確に理解してプレーすることが非常に重要です。

テンポラリーウォーター グリーン上ではどうする?

テンポラリーウォーターがグリーン上に発生するケースは稀ですが、大雨や芝の排水不良などで水たまりができることがあります。この場合も無罰で救済が受けられます。

具体的には、ボールがグリーン上のテンポラリーウォーターに止まっていた場合、最も近い完全な救済エリア上にボールをプレース(置く)ことが可能です。これは通常の救済ドロップとは異なり、プレース(置く)点がルールで指定されているため、慎重に選ぶ必要があります。

注意したいのは、パッティングラインにテンポラリーウォーターがあるが、ボール自体は影響を受けていない場合です。この場合、ルール上は救済対象とはならず、パットをそのまま続けなければなりません。濡れた芝による影響を受けたくない場合でも、ライン上の水だけでは救済は受けられないというのが原則です。

また、グリーン上の救済では必ず同じグリーン上にプレースする必要があり、フェアウェイやカラーには移動できません。こうした細かいルールを知っておくことで、混乱やトラブルを未然に防げます。

ややこしいカジュアルウォーターの判断とラフでの扱い方

カジュアルウォーター 判断が難しいケースとは?

テンポラリーウォーター(旧称:カジュアルウォーター)は、一見してわかりにくい場合も多く、判断が迷いやすいルールのひとつです。特に、芝が濡れているだけなのか、水たまりとして救済対象なのかを見分けるには、“にじみ出る水”の感触を確認するのがポイントになります。

具体的には、プレーヤーが通常の姿勢でスタンスを取ったとき、靴の下から明らかに水が浮き上がってくるような状況であれば、それはテンポラリーウォーターとみなされ、無罰救済の対象になります。

逆に、芝が濡れているだけ、あるいは軽く踏んだくらいでは水がにじまない場合、それは救済の対象とはなりません。ルールでは「視覚的に水が確認できるか、またはスタンスを取って明らかに濡れが生じるか」が判断基準となっています。

競技中に判断が難しい場合は、同伴プレーヤーやマーカーと相談し、最終的には競技委員の判断を仰ぐのが安全です。自己判断で救済を受けてしまうと、誤った処置でペナルティになるリスクもあるため、慎重な確認が求められます。

カジュアルウォーター ラフで救済を受けられる?

ラフに水がたまっているケースもよくありますが、「フェアウェイと違って、ラフって救済受けられるの?」と疑問に感じる方もいるかもしれません。結論から言えば、ラフであってもテンポラリーウォーターであれば救済対象になります

ラフでの判断もフェアウェイと同様に、スタンスを取って靴の下から水がにじみ出るかどうかが基準になります。ただし、ラフは芝が長く水が見えにくいため、踏み込んで初めて分かるケースが多く、見落としやすい点には注意が必要です。

救済の方法も他エリアと同様で、最も近い完全な救済エリアから1クラブレングス以内に無罰でドロップできます。もちろん、カップに近づいてはいけない点も変わりません。

ラフでのテンポラリーウォーターは、打ちづらさが増すぶん精神的にも焦りがちですが、焦らずしっかりとルールに従った処置を行えば、トラブルなく安全に進行できます。

バンカーで水たまりになったら救済は受けられるのか?

改めて整理しておくと、バンカー内で水たまり=テンポラリーウォーターがある場合も救済は可能です。これはルール上明確に認められており、プレーヤーが不当に不利にならないように配慮されたものです。

ただし、救済を受ける際の選択肢が2つあることを忘れてはいけません:

  • バンカー内で無罰での救済を受ける(ただし水のない場所があることが前提)
  • バンカー外に1罰打でドロップする(救済不能なほど水が広がっている場合)

テンポラリーウォーターによる救済の判断は、位置だけでなく“プレー可能かどうか”もポイントです。水が溜まっていても、スタンスやスイングに影響がなければ救済が認められない場合もあります

また、バンカーからの救済を選んだ後、ドロップが失敗して再び水たまりに入ってしまった場合には、リドロップやプレース処置が必要になります。手順を正確に把握しておくことが、ルールトラブルを避けるカギになります。

テンポラリーウォーターを知ることがスコアアップにつながる

ルールを知って正しく救済を受けよう

テンポラリーウォーターは、一時的な自然現象によって生じる障害ですが、正しいルールを知っていれば無罰での救済が受けられるチャンスでもあります。ルールブックでは難しく感じる内容でも、スタンスに水がにじむかどうか、ボールが水に浮いているかなど、判断基準を感覚的に理解することが大切です。

また、バンカー・グリーン・ラフなど、状況によって救済の手順や選択肢が変わることもポイント。知らずに自己判断で処理するとペナルティにつながる恐れがあるため、正確な知識を身につけておきましょう。

ルールを理解することで、余計なストレスやトラブルを減らし、冷静なプレーにつながります。スコアを守るうえでも、テンポラリーウォーターのルールはゴルファー全員にとって知っておくべき項目と言えるでしょう。

練習場では学べない“現場対応力”を身につけよう

テンポラリーウォーターは、練習場ではほとんど経験しない状況です。しかし実際のコースでは、特に雨の日や早朝など、かなりの頻度で遭遇します。だからこそ、現場での判断力・対応力がスコアに大きな影響を与えるのです。

「水たまりがあるから仕方ない」と諦めるのではなく、ルールを武器にして賢くプレーすれば、ライバルと差がつきます。特に競技志向のプレーヤーであれば、正確な知識と落ち着いた処理はマナーと同等に重要です。


✅記事まとめ

  • テンポラリーウォーターとは一時的に発生した水たまりのこと。
  • 旧称はカジュアルウォーターで、現在は正式に統一されている。
  • スタンス時に水がにじみ出れば救済対象となる。
  • 拾い上げたボールは救済目的なら清掃してもOK。
  • バンカーでは無罰か1罰打かで救済の方法が分かれる。
  • グリーンではプレースでの救済が可能だが条件に注意。
  • ラフでもテンポラリーウォーターがあれば救済は受けられる。
  • プリファードライはローカルルールであり別ルールとして扱う。
  • 判断が難しいときは必ず同伴者や競技委員に相談を。
  • ルールを理解しておくことがスコアアップとマナーの基本。
error: Content is protected !!